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2008/11/12

11月の樹 ~山梨県河口湖町・河口湖周辺の紅葉

カテゴリ:
樹のある風景

 
みなさん、こんにちは。写真家の竹内敏信です。この写真は、2003年の11月に山梨県河口湖町の河口湖周辺にて撮影しました。
 


河口湖は、富士山の北側(山梨県側)に位置しています。富士山を囲むように並んでいる富士五湖(山中湖・河口湖・本栖湖・西湖・精進湖)のひとつで、湖岸線が他の湖よりも入り組んでいるのが特長です。富士山の撮影ポイントとしても、よく知られています。画面の手前に河口湖を入れて、中央に山並みや街を、そして画面の奥に富士山を配した構図の富士山の写真をご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
 
この写真を撮影したのは、富士山の撮影のために富士山の周辺を回っていたときです。この写真には映っていませんが、実は、カメラは富士山の方向を向いています。富士山を入れなかったのは、写真のテーマが富士山ではなく、紅葉であったからです。もちろん、紅葉をテーマにしても、富士山を入れた絵づくりは可能ですが、見事な色合いの紅葉を強調するには、富士山を外したほうがいいと判断しました。
 
たくさんの美しいものが目に入るあまりに、あれもこれもと詰め込んでいくと、写真を見た人の目線が紅葉以外のものに向くことになり、自分が今、この場所で感じた紅葉の印象が弱くなります。さらには、富士山というあまりに有名なものが加わることで、写真の俗っぽさも強まってしまうのではないかと思いました。
 
といって、紅葉だけに寄り過ぎると、今度は、写真を見終えた後の余韻やイマジネーションの広がりが弱くなります。そのために、澄んだ青く美しい空を少しだけ入れることにしました。空を画面の上ではなく、横に入れたのは、空の上から下にかけての見事な青のグラデーションを取り込むことで、写真の奥行き感が増すだけでなく、紅葉の美しさをより引き立てることにもなると考えたからです。
 
少々手前味噌になりますが、この写真のような被写体との距離感と構図は、珍しいのではないかと思います(「4月の樹」のオオヤマザクラの写真の場合も、同じことがいえるかもしれません)。一般的には、もっとカメラを引いて、上から下まで、木の全体を見せたり、富士山と絡めた構図にしたり、青空をもっと広く取り込んだり、あるいは、逆にもっと寄って、紅葉の枝葉をアップで撮ることが多いのではないでしょうか。
 
写真には撮影者の趣味性が大きく関係しますので、何がいい写真で、何が悪い写真かは、一概にいえませんが、私は、写真を見た人の想像力をかきたてる、広がりのある写真が、いい写真だと思います。そのための撮り方はさまざまありますが、今回のテーマの場合は、「紅葉と湖と富士山と空と…」と、どんどん足していく“足し算の写真”よりも、伝えたいもの以外はできるだけ外していく“引き算の写真”のほうが適していると判断し、紅葉と青空に絞った構図にしました。
 
写真の撮り方は、撮影者から見る人に向けてのプレゼンテーションだと思います。撮影者の興味や関心、思いの強さを、写真を見た人にどれだけ伝えることができるか、それが何よりではないかと。そのためには、見えるものをあえて見せないような撮り方も効果的です。
 
たとえれば、「樹を直接写さないで、樹を感じさせる写真を撮るには、どうしたらいいか?」。ときには、そんなことを考えながら、写真を撮られてみてはいかがでしょうか。写真に対する見方・考え方・撮り方が、変わってくると思います。
 

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