2008/04/09
4月の樹 ~長野県牟礼村のオオヤマザクラ
- カテゴリ:
- 樹のある風景
今回より新シリーズ「樹のある風景」が始まります。
1~3月に開催しました「この木なんの木 写真コンテスト」を通じて、みなさまの「樹」に対する関心の高さを感じました。そこで、コンテストにて審査委員長を務められた竹内敏信先生が撮影された膨大な写真のなかから、四季折々の「樹のある風景」を毎月、先生のコメントとともにご紹介します。
「4月の樹」は「桜」です。桜は、多くの日本人が“日本的美の象徴”と感じている樹ではないでしょうか。桜の撮影は、竹内先生のライフワークでもあります。そんな竹内先生にとっての“この1枚”は、長野県牟礼村(むれむら:2005年に三水村=「さみずむら」と合併して飯綱町=「いいづなまち」になりました)の「オオヤマザクラ(大山桜)」です。
みなさん、こんにちは。写真家の竹内敏信です。桜の時期、僕は、各地の桜を求めて、毎年のように、桜前線に合わせて日本全国を回っています。この写真を撮ったのは、牟礼村が今の飯綱町となる前の、4月の終わりでした。農村地帯に自生していた1本桜です。表情豊かな巨木で、日本人にとっての桜の原風景を思わせる美しさを感じました。
野生種の桜「オオヤマザクラ」は、花が大型で色も濃く、その形と色は、多くの日本人がイメージする桜に最も近いのではないでしょうか。街中で目にする桜の花びらは、意外に色が淡く、白っぽいのに対して、オオヤマザクラのそれは、濃いピンク色をしています。
この写真は、太陽の光が桜の樹全体に均質に回り、1日のなかで桜がもっとも桜らしく映える時間帯の、午後3時から5時頃に掛けて撮ったものです。美しい花の色と見事な枝振りを描こうと、中判サイズのフィルムカメラと600mmの望遠レンズを使って、桜の樹の背景が空に抜けないように撮りました。桜は、ある程度の期間、咲き続けますが、本当にいいのは、そのなかの1日だけです。僕は、その1日を目指して風景と向き合っています。
「なぜ、長野で桜を?」「長野県は、桜の名所ではないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、僕が長年、全国各地の桜を撮り続け、深く感銘を受けた地域を思い起こしてみると、長野県(全域)と福島県(中通り地域)と奈良県(全域)の3地域になります。そのなかでも、長野県の桜が一番でした。この写真は、その長野県で撮った桜の樹の写真の、思い入れのある1枚です。
●写真家・竹内敏信(たけうち としのぶ)
1943年愛知県生まれ。名城大学理工学部卒業。愛知県庁勤務後、フリー写真家となる。
主として35mm一眼レフカメラを駆使し、鋭利な感覚と明確なテクニックで自然の映像化に挑戦し続ける。
風景写真家の第一人者として最も人気が高く、数々の個展を開催するとともに雑誌、写真集など、多くの作品を発表している。
(社)日本写真家協会副会長、日本旅行作家協会会員。日本写真芸術専門学校副校長、東京工芸大学講師、現代写真研究所講師。
>> 竹内敏信 オフィシャルサイト(クリックで別ウィンドウが開きます)
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