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2009/11/25

ベルギー、ワーテルフリート郊外にて

カテゴリ:
樹のある風景

 
みなさん、こんにちは。写真家の竹内敏信です。今回の写真は、ベルギーのワーテルフリート(Watervliet)郊外で目にした“樹のある風景”です。
 


周辺一帯は牧草地で、画面に見える水の流れは、川ではなく、農業用の水路です。人の手により植えられた、同じような大きさと同じような枝振りの木々が、水路と、それに並行する農道に沿って、真っ直ぐに続いていました。
 
日本だったら、このような郊外の田園地帯で、こんなふうにきっちりと管理された風景を目にすることは、当時も今も珍しいと思いますが、ここでは、それが普通に行われ、街並みと違和感なく調和していました。
 
自然のままに見えて、実は、人の管理による自然と書くと、違和感がありそうな風景に聞こえますが、ベルギーでのこの風景は、決して人工的な風景には見えませんでした。本当の意味での自然ではありませんが、統一された景観を重視するヨーロッパの、典型的な風景のひとつと言えるのではないかと思います。
 
撮影したのは、2000年の晩秋。写真展のための撮影でオランダを訪れた際、そのままベルギーまで足を伸ばしました。車で隣街へ行くかのような気軽さで、オランダから国境を越えて、ベルギー領内に入ることになりましたが、オランダとベルギーの街並みと雰囲気は、私の目には、どちらも同じように映りました。
 
ところが、オランダとベルギーの街並みで、決定的に違うことがありました。それは、電柱です。オランダの街では1度も目にすることがなかった電柱が、ベルギーにはあります。車を運転していると、いつの間に国境を越えたわからないほど、オランダに似た雰囲気を感じさせるベルギーですが、電柱の存在が、自分がいる場所がベルギー領内であることを気付かせてくれます。
 
この「樹のある風景」では、私の30年に渡るヨーロッパ取材のなかから“樹のある風景”という視点でピックアップした写真を、国が重ならないようにセレクトしたものをご紹介していますが、今回の写真を見て思ったのは、「写真を編む」ということです。
 
写真を撮るときは、目の前の風景に対する自分の感動を伝えるには、どのように撮影すればいいか、それだけを考えてシャッターを切りますが、実際に撮影した写真を見ると、写真1点1点の仕上がりや存在感とは別に、写真を見せる場や写真をセレクトするテーマによって、その写真の存在感が、違って見えることがあります。たとえば、この写真は、写真集としてまとめるよりも、カレンダーに使ったほうが見栄えがするのでは、といったものです。
 
この写真を見ていて、今年の4月に発表した、ヨーロッパ取材の成果をまとめた写真集「大欧羅巴」には、ベルギーで撮影した写真が1点もなかったことを思い出しました。街並みとしてのベルギーには、オランダと似通った印象があったためか、どこで撮影したかということを考えずに写真を選んでいったら、たまたま、ベルギーでの写真が選ばれず、オランダの写真ばかりになってしまいましたが、この「樹のある風景」では、それぞれに残ることになりました。
 
そんな撮影の舞台裏をお読みいただいたうえで、今回の写真を、4月の「樹のある風景」でご紹介しましたオランダの写真と見比べていただくと、また違った印象をお感じになられるかもしれません。
 

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