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2009/10/21

アイルランド、ゴールウェー州にて

カテゴリ:
樹のある風景

 
みなさん、こんにちは。写真家の竹内敏信です。今回の写真は、アイルランドの西側中央、ゴールウェー湾の北東に位置するゴールウェー州で目にした“樹のある風景”です。
 


一見、人がほとんど入ることのなかった、手つかずの森のように見えますが、そうではありません。写真の右側に見えるのは、川ではなくて水路。人手の入った森です。誰がいつ頃、何の目的で、ここに水路をつくったのか、撮影時にうかがい知ることはできませんでしたが、かつては十分に管理がされていたものの、今では自然のままに放置されてしまった森というところでしょうか。
 
訪れたのは、20年ほど前。撮影でイギリスを訪れた際に、アイルランドまで足を伸ばしました。イギリスのミニチュアのようなイメージをもっていましたが、イギリスよりもずっと素朴で、人の温かさを感じる国という印象を受けました。
 
ホテルは大きな街にしかなかったため、家族経営のペンションに泊まりながら、国土をひと回りしました。イギリス滞在中は、最後までおいしい食事にめぐり合うことはありませんでしたが、アイルランドでは、行く先々で出されるジャガイモとスモークサーモンをベースにしたシンプルで家庭的な料理を、毎回おいしくいただいたことが記憶に残っています。
 
アイルランドは、南北に約500km、東西に約300kmの大きさの島です。温暖なメキシコ湾流と大西洋からの偏西風により、夏は涼しく、冬は緯度に相当するほどの寒さがない、温暖な土地です。そんな気候が、風景に影響を与えているのでしょうか? 風景写真の被写体という点では、美しい自然にあふれてはいましたが、この国・この土地ならではの特徴的な“何か”が、私には、あまり感じられませんでした。
 
この企画では、私がヨーロッパ各国を撮影で回った際に出合った“樹のある風景”をご紹介していますが、この写真を見て、撮影地がアイルランドであることを当てるのは難しいと思います。ですが、どんな風景を撮っても、あるいは、撮影者が違っても、その地で撮られた写真から共通して漂う、風景自身が醸し出す固有の“何か”を感じさせる国や地域、場所があるのも事実です。
 
厳しい言い方になってしまいますが、アイルランドは、その点が、写真家としての私を圧倒させるような“何か”が今ひとつ弱く思え、アイルランドならではの強烈な印象を感じることがないまま、このときの撮影旅行を終えることになりました。それが、アイルランドの自然がもたらすものなのか、撮影者である私と自然との相性=私自身の感じ方によるものなのかはわかりませんが、結果として、私が撮影でアイルランドを訪れたのは、このとき一度きりに終わっています。
 
今回、こうして当時を振り返って思ったのは、あらためて訪れてみたら、今の私には、どのように映るのだろうか、ということです。人も風景も、変わりゆくもの。この国の自然も私自身の見方も、当時のままではないはずですので。機会があれば、もう一度訪れてみたいと思っています。
 

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