2009/01/14
1月の樹 ~北海道更別村・霧氷のなかの木立
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- 樹のある風景
みなさん、こんにちは。写真家の竹内敏信です。この写真は、今から10年ほど前の1月、北海道・帯広市の南側に隣接している更別村(さらべつむら)で撮影したものです。
撮影時期は、北海道の厳冬期。撮影場所は、田園地帯にある牧場の一角。撮影には、600mmの望遠レンズを付けた中判フィルムカメラを使いました。真っ白な雪原にひっそりとたたずむ木立の周囲に白い霧のように浮遊する霧氷(むひょう)。厳しい自然環境が見せてくれる、神秘的な光景です。望遠レンズの圧縮効果で、木立が背景の樹木からクッキリと浮かび上がり、神秘的な雰囲気が、より高まっています。
霧氷は、氷点下の環境下で水蒸気が凍結することで生じます(それが樹木に付着したのが「樹氷」で、水蒸気が凍結せずに大気中に浮かんだ状態が「霧」です)。写真では見えませんが、木立の傍に水路があり、そこから沸き立った蒸気が凍結し、木立の間を漂っているという状態です。
この地では、気温が-20℃を下回ると、霧氷を目にすることができます。ですが、霧氷は、日の光が当たると溶けてしまうため、日の出から10~15分程度のわずかな時間しか見られません。そのため、撮影にあたっては、一日で一番冷え込む時間帯の日の出前に撮影地に入り、凍える身体でカメラを準備し、朝日が昇る瞬間をじっと待つことになります。山の稜線から日が差し始めたわずかな時間が、シャッターチャンスになります。
樹林の隙間に青く見える部分は、空ではなく、山の斜面に降り積もった雪です。撮影したときは、山の稜線の向こう側から日が差し込み始めた頃で、樹林の後ろ側の斜面には、まだ日が当たっていないため、白い雪が青く見えています(写真の左上部分の樹林がわずかに光っていますが、これが、稜線越しに差し込んできた朝日です)。一方、太陽の角度から、木立と霧氷と雪原にはすでに日が差しているため、そこだけが白く浮かび上がって見えるのです。
ところで、みなさんは、年末年始は、どのように過ごされましたか? 私は、昨年の12月は、久しぶりに富士山を撮影しました。写真家が「未来に残したい情景」を求めて旅をするドキュメンタリー番組の取材ロケだったのですが(BSジャパンの「写真家たちの日本紀行」という番組ですが、すでに放送は終了しています)、この「樹のある風景」でご紹介している風景も、私が未来に残したいと願っている風景のひとつです。これらは、一見、いつでも見られる、何気ない風景のように見えて、実は翌年も同じ風景を目にすることができるとは限らないもことも少なくありません。
この写真が、まさにそれです。撮影ポイントで、しっかりした三脚に据えたカメラを用意し、撮影の際に露出とフレーミングに注意すれば、撮影のタイミング(時間)と気象条件が揃えば、同じような写真を撮るのは、それほど難しいことではありません。ですが、地球温暖化の影響など、環境の変化もあるのでしょうか。以前は、毎年のように見られたこの風景も、今では見られない年もあるようです。身近にある、当たり前のような風景も、地球環境と密接な関わりがあるのです。
このシリーズでは、「日立の樹」にちなんで、四季折々の「樹のある風景」を取り上げていますが、引き続き、日本の自然の素晴らしさを再確認できるような「樹のある風景」を、ご紹介したいと思っています。本年もよろしくお願いいたします。
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